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こんにちは、めしラボです。
鉄フライパンは酸化皮膜を形成させることにより「鉄を腐食させる赤サビが出にくくなる」「油なじみが良くなり食材がくっつきにくくなる」などのメリットが得られます。しかし黒サビの形成には高温に熱する必要がありますので、設備や環境の面で難しい場合には必ずしも必要な作業ではありません。
また黒皮鉄フライパンの黒皮は製造時に生じた黒サビですので、黒皮である場合にはこの作業をする必要はありません。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- 酸化皮膜(黒サビ)の役割とは?
- 鉄フライパンをサビにくくするには?
- 酸化皮膜を形成させる方法は?
鉄は600℃付近まで加熱することで酸化皮膜が形成されます。
酸化鉄には、自然には存在しない「酸化第一鉄(FeO)」、鉄を安定させる「四酸化三鉄(Fe3O4)」、鉄を侵食する「酸化第二鉄(Fe2O3)」の3種類がありますが、ここでいう酸化皮膜とは鉄を安定させる四酸化三鉄のことになります。
この酸化鉄を作ることには(それなりの)メリットがあります。
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酸化皮膜のメリットについて
酸化皮膜(黒サビ)は鉄を安定させます。
鉄フライパンを600℃付近まで熱することにより形成される黒サビ(四酸化三鉄)には鉄を安定させる効果があります。四酸化三鉄が形成されることにより鉄を侵食する赤サビ(酸化第二鉄)が生じにくくなり鉄フライパンは守られます。
また油なじみも良くなります。
黒サビが作られると鉄の表面には微細な凹凸が生じます。この微細の凹凸には油膜(油が酸化重合することによる樹脂皮膜)の食いつきを良くする効果がありますので、油膜が剥がれにくくなり油切れを起こしにくいフライパンになります。
難しい作業ではありますが(設備や環境が許すのであれば)価値はあります。
黒サビには赤サビを防ぐ効果があります。しかし黒サビが作られていれば赤サビが生じないというわけではなく、油膜のない状態では細かな赤サビが浮いてしまいます。これは黒サビには無数のピンホール(小さな穴)が開いているためであり、酸化皮膜を形成させた鉄フライパンには早い段階で油膜を形成させておく必要があります。
黒サビ(酸化皮膜)の形成方法について
黒サビの形成には600℃付近(585℃以上)まで熱する必要があります。
鉄フライパンを600℃付近まで熱するためには家庭用のガスコンロでは(Siセンサーが働いてしまって)困難ですので、カセットコンロ(またはセンサーをだますための五徳)とガスバーナーを併用するなどして温度を上げていくことになります。
もちろん業務用コンロが使えるのであればそれに越したことはありません。
銀色の鉄フライパンは240℃付近で褐色になります。
step.1
290℃付近で濃い青色になります。
step.2
400℃付近で青みの強い灰色になります。
step.3
鉄は600℃付近で赤く発色しはじめます。黒サビは585℃以上で形成されますので、温度が下がると白っぽい青灰色になりす。
step.4
鉄は温度により色が変わります。
はじめは銀色ですが200℃あたりから黄色になり240℃あたりでは褐色になります。さらに過熱を続けていくと「褐色→紫色→青色→灰色」のように変わっていきますので濃い青色が消えて青みの残る灰色になるまで熱することがポイントになります。
理想は585℃(四酸化三鉄の形成温度)以上ですが、400℃あたりでもそれなりの効果は望めます。特に厚板の鉄フライパンの場合には温度の上昇に時間がかかりますので、表面が「灰色になること」を目安にして作業します。
くれぐれも怪我だけには注意してください。
焼き入れをしなくても良いフライパンとは?
鉄フライパンには酸化皮膜が形成されていることがあります。
たとえば黒皮材(黒皮鉄フライパン)などがこれにあたります。黒皮材とは熱間圧延鋼板で作られているフライパンであり、この黒皮こそが鋼材の製造時に生じた黒サビ(四酸化三鉄=Fe3O4)ですので黒皮を落とさないように使い始めます。
はじめから酸化皮膜が形成されている状態ということです。
このことからも黒皮材の鉄フライパンに焼き入れは必要ありません。特にシリコン焼付塗装などが施されている場合には油膜を安定させるために剥がした気持ちもあるかと思いますが、無理に削り落とそうとすると黒皮まで削れてしまうことがあります。
酸化皮膜の形成は面倒ですので、無理をする必要はありません。
まとめ・鉄フライパンの酸化皮膜とは?
鉄は高温に熱することで酸化皮膜が形成されます。
酸化皮膜の正体は黒サビ(四酸化三鉄=Fe3O4)です。黒サビは鉄を585℃以上に熱することで形成されます。これにより「鉄を安定させて赤サビができにくくなる」「微小な凹凸ができることにより油なじみが良くなる」などのメリットが得られます。
しかし鉄フライパンを585℃以上まで熱するというのはとても高いハードルとなりますので、無理をすることはおすすめしません。