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こんにちは、めしラボです。
煮込み料理の中には食材を炒めてから煮込みはじめる料理があります。これは炒めることにより「食材のうま味が閉じ込められる」「煮崩れしにくくなる」「メイラード反応による風味が加わる」などのメリットが得られるためです。
しかし鍋の材質によっては食材がくっついてしまうことも珍しくはありません。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- 食材がくっついてしまう理由が知りたい。
- ステンレス鍋が焦げ付きやすい理由を知りたい。
- 食材の焦げつきを防ぐためにはどうすればいいのか?
ステンレス鍋は食材がくっつきます。
たとえばステンレス鍋でカレーを作る場合、はじめの肉や野菜を炒める工程において高い確率で食材が焦げ付いてしまうはずです。これはステンレスの熱伝導率が悪いためであり、熱ムラができてしまうために温度の低い部分でくっつきやすくなっています。
そのため食材がくっつかないようにするためには余熱をすることがポイントになります。
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食材がくっつく仕組みは?
ステンレス鍋は温度の低い部分でくっつきます。
肉や魚などのたんぱく質食材がくっつくのは「筋形質たんぱく質(球状たんぱく質)の活性基が金属面と凝着するため」です。そのために熱ムラがあると温度の低い部分で熱凝固が遅れるためにくっつきやすくなります。
ちなみに、たんぱく質は大きく3つに分類されます。
筋原線維たんぱく質 ミオシンやアクチンなど | 筋形質たんぱく質 ミオグロビンや各種酵素など | 肉基質たんぱく質 コラーゲンやエラスチンなど | |
---|---|---|---|
形状 | 繊維状 | 球状 | 繊維状 |
溶解性 | 塩溶性 | 水溶性 | 不溶性 |
熱による変化 | 収縮、凝固 | 凝固 | 収縮、分解 |
このことからも下ごしらえは重要です。
肉や魚がくっついてしまうのには筋形質たんぱく質(ミオグロビンや各種酵素など)が大きくかかわっていますので、水分を拭き取ってから調理をしないと水溶性である筋形質たんぱく質が原因となりくっつきやすくなります。
ちなみにジャガイモがくっつきやすくなるのは油切れを起こすためです。ノンスティック加工(テフロン加工など)の施されていないステンレス鍋は、ジャガイモのでんぷんに油が吸収されると油切れを起こしてくっつきやすくなります。
そのためジャガイモは水にさらすこともあります。
ステンレス鍋の熱伝導率とは?
ステンレスは熱伝導率の悪い素材です。
熱伝導率が良くないということは「温度が伝わりにくい」「温度が上がりにくい」「熱ムラができやすい」ということになります。ステンレス鍋に食材がくっつきやすいのは熱の伝わり方に問題があるためということになります。
そのために多くのステンレス鍋は多層構造になっています。
熱伝導率 W/(m・K) | |
---|---|
銅 | 398.0 |
アルミニウム | 237.0 |
鉄 | 80.3 |
ステンレス SUS405/SUS304 | 27.0 |
多層構造にすることで熱伝導率が良くなります。
ステンレス鍋は「熱しにくく冷めにくい鍋」ですが、熱伝導率に優れた素材(アルミニウムなど)をステンレスで挟み込むことによって「熱しやすく冷めにくい鍋」になります。これによってステンレスのメリットを活かしつつも熱ムラのできにくい鍋になります。
しかし性能の良いものは驚くほどの高価格になります。
くっつかないようにするためには?
ステンレス鍋はくっつきやすい鍋です。
これはステンレスの持つ「熱が伝わりにくい」「温度が上がりにくい」「熱ムラができやすい」などの特徴によるものです。そのためステンレス鍋に食材がくっつくのを防ぐためには十分に熱して熱ムラをなくすことがポイントになります。
おすすめは油返しです。
油返しとは「多めの油を熱することで鍋全体を均一に温めるテクニック」です。主に中華鍋や鉄フライパンに重宝されているテクニックではありますが、ステンレス鍋をくっつきにくくするためにも使えます。
また油返し後にあら熱を取ることで簡易的な油膜の形成にもなります。ステンレス鍋の油膜はすぐに消えてしまいますが、油返し後に一度冷まして油膜を形成させておくことにより油の使用量を減らしてもくっつきにくくなります。
樹脂皮膜のない調理道具には広く使えるテクニックです。
まとめ・ステンレス鍋は焦げやすい?
ステンレスは食材(主に肉や魚などのたんぱく質食材)のくっつきやすい素材です。
これはステンレスの持つ「熱が伝わりにくい」「温度が上がりにくい」「熱ムラができやすい」などの特徴が筋形質たんぱく質(球状たんぱく質)の活性基と金属面を凝着させてしまうために起こります。
くっつくのを防ぐためには油返しなどにより鍋全体を均一に温めることがポイントになります。