この記事は約 4 分で読めます。
こんにちは、めしラボです。
ハンバーグには主材料と副材料があります。これらの食材をなじませるためには「つなぎ」が必要になります。玉ねぎやパン粉をつなぎと呼ばれることもありますが、これらの食材はつなぎにはなりませんので注意が必要です。
玉ねぎやパン粉にはつなぎとは反対の役割があります。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- ハンバーグのつなぎとは?
- つなぎなしで作るとどうなる?
- 主材料と副材料をつなぐ仕組みは?
ハンバーグのつなぎは食塩と卵です。
ハンバーグは主材料のひき肉をこねて作ります。こねたひき肉には粘りがでて肉汁を閉じ込めやすくなります。しかしそのまま焼いたのでは硬くなってしまいますので、副材料(玉ねぎやパン粉など)を加えることによりもろさを出します。
この主材料と副材料をまとめるものこそがつなぎ(食塩と卵など)です。
スポンサーリンク
玉ねぎやパン粉はつなぎにならない?
ハンバーグのつなぎは食塩と卵です。
つなぎとして紹介されることのある玉ねぎやパン粉はつなぎにはなりません。玉ねぎやパン粉は主材料(ひき肉)に対する副材料です。副材料の役割は「ひき肉の粘着力(アクトミオシンによる網目)を阻害して適度なもろさを出す」ことにあります。
つなぎとは反対の効果を狙って加えられています。
そのためハンバーグに加えられることの多い副材料(玉ねぎ、パン粉、卵、豆腐など)の中でつなぎとしての効果があるのは卵だけであるということになります。副材料の多すぎるレシピはハンバーグが崩れやすくなりますので注意が必要です。
これらのことからも、ハンバーグは食塩と卵によってまとまりをよくします。
食塩の効果とは?
食塩にはたんぱく質を溶かす効果があります。
肉のたんぱく質には大きく3種類(筋原線維たんぱく質、筋形質たんぱく質、肉基質たんぱく質)があります。ひき肉に食塩を加えてこねると塩溶性である筋形質たんぱく質のミオシンとアクチンが結合しやすくなるために粘着力が強くなります。
ひき肉の粘着力をつなぎとして利用するというわけです。
筋原線維たんぱく質 ミオシンやアクチンなど | 筋形質たんぱく質 ミオグロビンや各種酵素など | 肉基質たんぱく質 コラーゲンやエラスチンなど | |
---|---|---|---|
形状 | 繊維状 | 球状 | 繊維状 |
溶解性 | 塩溶性 | 水溶性 | 不溶性 |
熱による変化 | 収縮、凝固 | 凝固 | 収縮、分解 |
そのため、ひき肉と食塩ははじめにこねます。
ひき肉に食塩を加えてこねると、塩溶性のミオシンが溶解して単分子化することにより分散します。分散したミオシンはアクチンと結合してひも状のアクトミオシンとなり、アクトミオシンがつながって絡み合うことで網目構造を作ります。
これによりひき肉には粘りがでて粘着力が強くなります。
卵の効果とは?
卵には肉汁をアクトミオシンの網目構造に留める効果があります。
卵黄に含まれている乳化成分(レシチン)には肉汁と油脂をまとめる役割があり、卵白には肉汁や油脂を抱え込んだうえでアクトミオシンによる網目構造の中に留める(ハンバーグの中に肉汁を留める)役割があります。
そのため、卵を加えるとジューシーで柔らかい仕上がりになります。
卵白において熱凝固に寄与しているたんぱく質(オボアルブミン)は84.0℃で完全に固まります。そのためハンバーグの中心温度75~80℃ではゆるく固まる(ゲル状になる)ことにより主材料と副材料をつないでいます。
しかし85℃を超えてくるとたんぱく質の網目構造が強くなりすぎるために水分が絞り出されてしまいます。
つなぎなしだとどうなる?
つなぎを使わないと割れやすくなります。
ひき肉をよくこねて作ったハンバーグは、よく膨らみます。アクトミオシンにより接着力の強くなったひき肉が膨張した水分やガスを逃がさないためです。そのため、ハンバーグの成形では膨らみを加味して中央部分をへこませておきます。
つなぎを使わないと肉汁が流れ出ます。
食塩を加えてこねなければひき肉の粘着力が強くならないために膨らまない(肉汁の流れ出る)ハンバーグになりますし、卵を加えなければ卵白が肉汁を抱え込んでくれないために水分の蒸発しやすいハンバーグになります。
ハンバーグのつなぎは、パサパサやスカスカになることを防いでいます。
まとめ・つなぎなしのハンバーグは?
ハンバーグのつなぎは食塩と卵です。
つなぎを使わないと「まとまりにくくなる」「肉汁が流れ出やすくなる」「水分が抜けやすくなる」「崩れやすくなる(割れやすくなる)」などのデメリットが生じやすくなります。つなぎを使わずに作る方法もありますが、難易度が高い(または手間がかかる)ために家庭のハンバーグには不向きです。
仕組みを理解した上で上手に利用することがポイントになります。