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こんにちは、めしラボです。
銅の卵焼き器は熱伝導率の高さが魅力です。その熱伝導率の高さゆえに熱ムラができにくく卵焼きの仕上がりが良くなります。しかしノンスティック加工(テフロン加工など)は施されていませんので「くっついてしまって料理にならない」ということもあります。
銅の卵焼き器は油ならしにより使いやすくなります。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- 銅の卵焼き器はくっついてしまって使いにくい。
- 突然くっつきやすい卵焼き器になってしまった。
- 同じ部分だけがくっつきやすくて使いづらい。
銅の卵焼き器には油膜を形成させます。
油膜とは油が酸化重合することにより形成される樹脂層(ポリマー層)のことであり、油膜が形成されているからこそ卵がくっつきにくくなります。また、油膜以外にも「洗い残し」「温度ムラ」などもくっついてしまう要因になることがあります。
理屈が理解できているとくっつきにくい卵焼き器にすることができます。
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銅の卵焼き器の油ならしとは?
銅の卵焼き器は油ならしによりくっつきにくくなります。
油ならしとは金属面に油が酸化重合することによる樹脂層(ポリマー層)を形成させることであり、銅の卵焼き器と同様にノンスティック加工の施されていない鉄フライパンやスキレットではシーズニングと呼ばれていたりもします。
いくつかのやり方がありますが、銅の卵焼き器には以下の方法が人気です。
食器洗い洗剤とスポンジを使って丁寧に洗います。金たわしや竹ささらは卵焼き器の表面加工(錫引き)を傷つけますのでおすすめしません。
step.1
火にかけて200℃前後まで熱します。しっかりと温めることにより吸着水(化学結合している水分)が蒸発して油なじみが良くなります。
step.2
少し多めの油を加えて200℃程度まで熱したら火を止めます。内側全体に油をなじませたら、そのまま翌日まで放置しておきます。
step.3
油を捨てて(もしくはオイルポットに戻して)から余分な油はキッチンペーパーなどで拭いておきます。試し焼きをしてみて問題がなければ完成です。
step.4
油はサラダ油で問題ありません。
鉄フライパンやスキレットなどではヨウ素価の高い油(乾性油)を使用して強固な油膜を形成させることもありますが、今回ご紹介したやり方はヨウ素価94~126の不乾性油から半乾性油に分類される油に適した方法です。
ヒマワリ油やグレープシード油などの乾性油を使用する場合には、薄く塗った油を完全に乾かす必要がありますので今回の方法よりも手間がかかります。
油ならしに使用する油の種類は?
油の種類により油膜の性質が変わります。
油ならしに使用される油は調理者の好みにより使い分けられています。油には二重結合が多いほどに酸化反応が進みやすいという性質があります。たとえばヤシ油は二重結合の少ない油ですので酸化しにくい油に分類されますが、アマニ油は二重結合の多い油ですので加熱による酸化反応を起こしやすい油に分類されます。
この違いが「ヤシ油=乾かない油」「アマニ油=乾く油」の違いになります。
乾性油 ヨウ素価130以上 | アマニ油、クルミ油、ヒマワリ油など |
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半乾性油 ヨウ素価130から100程度 | コーン油、ゴマ油、大豆油など |
不乾性油 ヨウ素価100以下 | オリーブ油、椿油、菜種油など |
不乾性油と乾性油とでは油ならしの方法が変わります。
不乾性油や半乾性油による油ならしで「湿った油膜」を形成させるためには今回ご紹介したような方法が用いられますが、乾性油による油ならしで「乾いた油膜」を形成させるためには薄く塗った油を酸化により硬化させる方法が用いられます。
好みにもよりますが、まずは上記の方法で試してみることをおすすめします。
汚れを焼き切らない理由は?
銅の卵焼き器には焦げ癖ができることがあります。
同じ場所でくっついてしまう焦げ癖の原因には「洗い残し(汚れ残り)」や「温度ムラ」などがあります。鉄フライパンなどでは空焼きをして汚れを焼き切ってから再度油ならしをすることによりリセットをすることがありますが、銅の卵焼き器にはおすすめしません。
銅の卵焼き器には錫引き加工が施されています。
錫は融点の低い金属ですので、汚れが焼き切れるほどに加熱したり目の粗いやすりでこすったりすれば錫引き加工が荒れてしまいます。そのため銅の卵焼き器をリセットしたい場合には物理的アプローチではなく化学的アプローチで汚れを落としていくことになります。
ちなみに錫引き加工時にはフラックスが塗られます。
銅に錫を塗ろうとすると錫は表面張力により球体となり銅の表面を転がるようになるために薄く広がりません。そこで予め銅の表面にフラックス塗布しておくことにより溶けた錫が丸くなろうとする働きを抑えることができます。
このフラックスがあることにより汚れが焼き切れるほど熱しても錫が簡単に剥がれてしまうようなこともなくなりますが、ダメージになることは確実ですので基本的には熱しすぎない(230℃以上にしない)ことをおすすめします。
まとめ・銅の卵焼き器がくっつくようになった?
銅の卵焼き器は油膜によりくっつくのを防いでいます。
形成される油膜は油の種類(ヨウ素価)により性質の異なるものになります。たとえば菜種油は不乾性油と呼ばれるヨウ素価の低い油ですので「湿った油膜」になり、ヒマワリ油は乾性油と呼ばれるヨウ素価の高い油ですので「乾いた油膜」になります。
どちらが良いかは好みの問題ですが、まずは油ならしの工程がシンプルな不乾性油(菜種油など)を使った方法で試してみることをおすすめします。