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こんにちは、めしラボです。
ぬか漬けを美味しくするためには、発酵を促進させる効果のある副材料を加えることがあります。たとえば本みりん、生ビール、ヨーグルト、乳酸菌サプリメント、米こうじ(麹甘酒や塩こうじなど)、酒粕などがこれにあたります。
好みにもよりますが、ぬか床の風味に影響を与える副材料です。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- ぬか床に酒粕を加える効果は?
- 酒粕を加える方法は?
- 酒粕が発酵促進につながる仕組みは?
酒粕にはぬか床の発酵促進効果があります。
酒粕とは酒(日本酒)の絞り粕です。日本酒は、米、米麹及び水を原料として主に酵母と麹菌(酵素)の働きによって作られています。酒粕には米に含まれていたたんぱく質が濃縮されている他、発酵により生じた様々な発酵産物が含まれます。
これらの成分にはぬか床の発酵を促す効果があります。
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酒粕のぬか床への加え方は?
はじめは少量の酒粕を混ぜ込んで様子を見ます。
酒粕には日本酒の醸造に関与した微生物や酵素などが死滅(失活)することなく含まれています。そのためぬか床への影響力は大きくなりますので、材料として加えるというよりは活力剤として加えるようなイメージになります。
また酒粕には特有の香味があります。
酒粕の香味はそれ単体ではよい香りですが、ぬか床に加えられた際の香味には好みが分かれます。はじめから多量の酒粕を加えてしまうと元の戻すことはできなくなりますので、はじめは少量から試してみることをおすすめします。
少量であっても十分な効果を感じられます。
酒粕によりうま味が強くなり仕組みは?
酒粕を加えるとうま味が強くなります。
酒粕はもろみを絞った固形部分です。米のでんぷん(糖質)は分解されてアルコールへと変換されていますが、たんぱく質の大部分は酒粕に残ります。そのため、酒粕は米たんぱく質の濃縮物であるとも言われます。
たんぱく質の一部は、分解される(アミノ酸になる)ことでうま味になります。
また酒粕には麹由来の酵素も含まれていますので、酵素が酒粕やぬか床に含まれているたんぱく質を分解することにより(アミノ酸が増えることにより)うま味が強くなります。当然、米こうじ単体を加えても同様の効果が得られます。
うま味や甘味を強くするだけであれば、米麹、麹甘酒、塩麹などでの代用が可能です。
ぬか漬けの香味が良くなる仕組みは?
酒粕を加えることで華やかな香味が加わります。
ぬか床の香味は微生物の種類により変化します。基本的には有機酸とアルコールの香り、有機酸とアルコールがエステル化することによる香りです。これらの香りは微生物の種類により変化しますので、酒粕特有の微生物が加わることにより香味が変化します。
香味という点において、酒粕に含まれている微生物は貴重です。
もちろん酒粕を加えることによる香味の変化が必ずしもぬか漬けを美味しくするとは限りませんが、ぬか床に華やかな香味が加わることは味や香りを複雑にするためには効果的な手段であるといえます。
また酵素(リパーゼやエステラーゼなど)の効果により「ぬか床の悪臭が和らぐ効果」にも期待が持てます。
酒粕がぬか床の発酵促進につながる理由は?
酒粕はぬか床にとっての活力剤のような働きをします。
酒粕には酵素(生体化学反応に対しての触媒として機能する分子)が失活することなく残っています。これにより、でんぷんが分解されてぬか床内に糖が増えることになります。糖は乳酸菌や酵母菌の餌になりますので、微生物の働きが活発化します。
発酵促進剤として機能するというわけです。
しかしぬか床の手入れに慣れていない場合には注意が必要です。たとえば水分の多いぬか床に加えれば急激に酸っぱくなる可能性がありますし、水分の少ないぬか床に加えれば急激にアルコール臭くなることがあります。
難しい面もありますので、コントロール可能な範囲で試してみることをおすすめします。
まとめ・ぬか床に酒粕を加える効果は?
酒粕はぬか床にとっての活力剤になります。
酒粕は米たんぱく質の濃縮物ですので、たんぱく質がアミノ酸に分解されることによりうま味が強くなります。また酒粕には豊かな香味を生成する微生物(主に酒造用の酵母菌)が含まれていますので、普通に管理していたのでは加わることのない香味を加えることができます。
好みにもよりますが、試してみる価値は十分にあります。
※ぬか床容器は価格変動が大きいため注意してください。常温管理には米ぬかをこぼしにくい寸胴型容器、冷蔵庫管理にはデッドスペースのできにくい角型容器がおすすめです。