この記事は約 5 分で読めます。
こんにちは、めしラボです。
ある程度、本格的な燻製をする場合には食材の表面を乾燥させる必要があります。燻煙をする前に食材の表面が乾いていないと「苦味や酸味が強くなりおいしくない燻製になる」「保存性が悪くなる」などの問題が起こる可能性があるためです。
燻製は単に燻しているだけではありません。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- 燻製をする前に食材を乾燥させる理由を知りたい。
- 乾燥を疎かにするとどのような問題が起こるのか?
- 燻煙する前に食材を乾燥させる方法は?
燻製の前には食材の表面を乾かします。
燻製づくりは「下ごしらえ→塩漬け(塩抜き)→乾燥→燻煙→熟成」が基本工程になります。今回説明する乾燥の工程には「保存性を高める」「煙ののりをよくする(煙による樹脂皮膜が作られやすくする)」などの目的があります。
おいしい燻製づくりには欠かすことのできない工程です。
スポンサーリンク
食材を乾燥させる理由は?
燻製は乾燥により仕上がりや保存性が向上します。
燻製にすることで保存性が向上する理由には「食材の水分量(自由水分)を減らしている」「燻煙には抗菌成分や抗酸化成分が含まれている」などがあります。しかし食材の表面に水分が付着していると燻煙ののりが悪くなることにより仕上がりや保存性が残念になります。
これは燻煙による皮膜(樹脂皮膜)は水分により形成されにくくなるためです。
また食材の表面に水分が残っていると(燻煙に含まれている有機酸が溶け込んでしまうために)燻製が酸っぱくなってしまいます。これらのことからも燻煙前には手で触ってもべたつかない程度まで乾かしておくことがポイントになります。
乾かしすぎも良くありませんが濡れているのは最悪です。
乾燥方法は?
食材の乾燥には2種類の方法があります。
ひとつは風乾でもうひとつは温熱乾燥です。風乾はとは「乾燥用ネット(干しあみ)などに入れて外気にさらして乾かす方法」ですので季節や天候を選びます。温熱乾燥は「燻煙材を入れない燻製器を使って温熱により乾かす方法」ですので熱が入ります。
このことからも風乾が基本の乾燥方法になります。
風乾とは?
風乾とは自然の風にさらして乾かす方法です。
塩抜き後の食材についている水分をきれいに拭き取ります。乾燥用ネット(干しあみ)などに入れて風通しの良い日陰に吊るしておきます。直射日光に当たるとその熱によって腐敗してしまう可能性がありますので注意が必要です。
また風乾は季節や天気を選びます。
気温の高くなる季節や湿度の高い日などには「屋内で扇風機を使って乾かす」「ラップをせずに冷蔵庫に入れて乾かす」などの方法もあります。風乾が基本だと書きましたが、季節や天候を選ばないことからも冷蔵庫で乾かす方法が主流になってきています。
当ブログにおきましても冷蔵庫乾燥を推奨しています。
冷蔵庫乾燥とは?
冷蔵庫乾燥は冷蔵庫を使って乾かす方法です。
食材についている水分を拭き取り、盆ざるなどに乗せて冷蔵庫に入れます。冷蔵庫には「湿度が低い」「温度差によって水分子が外側へと移動しやすい」などの理由により食材が乾燥しやすい条件がそろっています。
そのため燻製の前には冷蔵庫での乾燥がおすすめです。
湿度が低い | 低温により絶対湿度が高くなるために霜取り装置により湿度が下がる |
---|---|
水分子の移動 | 食材の水分子は温度の低い方へと移動しやすいため |
また衛生面でも冷蔵庫がおすすめです。
本格的な燻製(温燻法など)では「下ごしらえ→塩漬け(塩抜き)→乾燥→燻煙→熟成」というのが基本的な工程になります。乾燥と熟成の工程では長時間にわたって外気に触れていることになりますので特に夏の燻製では衛生的な問題が起こりやすくなります。
その点、冷蔵庫で乾燥と熟成を行えれば安全性が高くなります。
温熱乾燥とは?
温熱乾燥は燻製器を使って乾かす方法です。
余分な水分を拭き取った食材を燻製器にセットします。スモークチップなどの燻煙材を入れずに熱源を入れることで温熱によって乾かします。はじめから温熱乾燥をするのではなく風乾では乾き足りないときなどに利用されることの多いテクニックです。
また温熱により火を通す方法もあります。
肉(豚肉や鶏肉など)は内部温度を75℃まで上げなければ食べられません。そこで燻煙だけでは香りが強く付きすぎてしまうような場合には温熱乾燥により火を通してから燻煙することにより加熱加減と香りのバランスを取ることもあります。
しかし風味が損なわれやすい方法でもありますので多用は禁物です。
まとめ・燻製の前に乾燥させる理由は?
燻製づくりでは燻煙の前に食材を乾燥させます。
手で触ってもべたつかない程度まで乾燥させておくことにより「燻煙ののりが良くなる(燻煙による樹脂皮膜がきれいにできる)」ようになります。煙ののりが良くなると仕上がりがきれいになりますし保存性の向上も望めます。
また表面を乾かしておくことによって燻製が酸っぱくなることも防げますので欠かすことのできない工程であるといます。