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こんにちは、めしラボです。
燻製の基本工程は「下ごしらえ→塩漬け(塩抜き)→乾燥→燻煙→熟成」です。多くの方が「塩漬けにしてから塩抜きするくらいであれば、はじめからちょうどよい塩加減にすればよいのでは?」と考えてしまうことには理解できます。
しかし、塩漬けにしてから塩抜きをするのには意味があります。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- 塩漬けと塩抜きの意味は?
- ちょうどよい塩加減に味つけをしたのではダメ?
- 燻製の塩漬けと塩抜きのやり方は?
肉や魚の燻製には塩漬けと塩抜きの工程があります。
簡単に作れる燻製(薄切り肉の熱燻法など)の場合には省略されることもありますが、ブロック肉などを使った本格的な燻製(温燻法など)の場合には実施されることの多い工程です。ちなみに塩漬けの方法にはふり塩法と立て塩法の2種類があります。
たんぱく質食材の燻製は塩漬けにより驚くほどに美味しくなります。
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塩漬け方法と塩抜き方法について
燻製には塩漬けと塩抜きの工程があります。
特に肉や魚などのたんぱく質食材には重要な工程です。塩漬け方法には塩を振りかける「ふり塩法(乾塩法)」と塩水に浸ける「立て塩法(湿塩法)」の2種類があります。ソミュール液(またはピックル液)は立て塩法に使うための食塩水です。
以下は具体的なやり方です。
下ごしらえをしてから塩漬けします
よい塩梅になるまで塩抜きをします
水分を拭き取ってから風乾します
燻煙で燻してから熟成させます
塩漬け方法は食材により異なります。
ふり塩法は「食材に直接すり込む方法」であり、立て塩法は「10%前後の食塩水に浸す方法」です。ふり塩法には「塩分が入りやすい」「脱水効果が高い」などの特徴があり、立て塩法には「食塩が均一に入る」「脂肪分の酸化が起こりにくい」などの特徴があります。
以下はふり塩法と立て塩法の違いです。
ふり塩法 | 立て塩法 | |
---|---|---|
食塩量 | 食材の5~10% | 10%前後の食塩水 |
日数 | 一晩~2週間ほど | 数時間~3日ほど |
保存性 | 〇 | △ |
味付けとしてソミュール液を使うこともあります。
たとえばスライス肉の熱燻法などの場合にはソミュール液を刷毛で塗るなどします。スライス肉の場合にはふり塩法ではムラができますし、立て塩法では手間がかかります。そこで「ソミュール液を塗る→拭き取る→風乾する→燻煙する」といった工程になります。
またソミュール液は市販の合わせ調味料で代用されることもあります。
塩漬けと塩抜きの目的は?
燻製は塩漬けにより美味しくなります。
特にブロック肉の燻製には欠かすことのできない工程となります。これは塩漬けと塩抜きをすることにより「塩味が均一に入る」「保存性が向上する」「うま味が増して美味しくなる」などのメリットが得られるためです。
たんぱく質食材には欠かすことのできない工程です。
また塩漬けと塩抜きをすることには「下処理(食材の掃除)」の意味合いもあります。獣肉には特有の生臭さがあることがありますが、塩漬けと塩抜きの工程によって食材の内部にある生臭さの成分を取り除くことができます。
ていねいな下処理は「食味の向上」「保存性の向上」などにもつながります。
塩漬けで燻製が美味しくなる理由は?
たんぱく質食材を塩漬けにするとうま味が増します。
肉を構成する筋肉たんぱく質は大きく3種類に分類されています。それが筋原線維たんぱく質、筋形質たんぱく質、肉基質たんぱく質の3種類ですあり、それぞれのたんぱく質には食塩に対して異なる反応を示します。
以下は筋肉たんぱく質の特徴です。
筋原線維たんぱく質 | 筋形質たんぱく質 | 肉基質たんぱく質 | |
---|---|---|---|
形状 | 繊維状 | 球状 | 繊維状 |
溶解性 | 塩溶性 | 水溶性 | 不溶性 |
熱による変化 | 収縮、凝固 | 凝固 | 収縮、分解 |
ポイントとなるのが筋原線維たんぱく質です。
筋原線維たんぱく質(ミオシンやアクチンなど)は塩溶性です。そのためにたんぱく質食材を塩漬けにすると一部のたんぱく質がうま味成分であるアミノ酸へと分解されます。食塩によって熟成が進んでいくようなイメージです。
このことからも塩漬けは燻製を美味しくします。
塩抜きしなければいけないのか?
燻製の塩漬けには塩抜きが必要です。
一見して無駄なように思えるかもしれません。しかし濃い塩分を入れてから塩抜きをすることにより「塩分濃度が均一になる」「生臭さや腐敗の原因となる物質が取り除かれやすくなる」などのメリットが得られますので欠かすことのできない工程です。
また塩抜きによりうま味が抜けることもありません。
分子量(g/mol) | |
---|---|
食塩(塩化ナトリウム) | 58.44 |
砂糖(ショ糖) | 342.3 |
アミノ酸(イノシン酸) | 348.206 |
食塩とアミノ酸は分子量が異なります。
分子量の小さな食塩には「食材に入りやすく抜けやすい」という特徴があり、分子量の大きなアミノ酸(イノシン酸)には「食材から抜け出にくい」という特徴があります。そのために塩抜きは適切なタイミングで終わらせることがポイントになります。
あまりにも塩抜き時間が長すぎると美味しくなくなります。
まとめ・燻製には塩漬けと塩抜きの工程が欠かせない?
燻製(特にたんぱく質食材の燻製)には塩漬けと塩抜きの工程があります。
これは塩漬けと塩抜きにより「塩味が均一に入る」「うま味が増す」「保存性が向上する」などのメリットが得られるためです。塩漬け方法には「ふり塩法(乾塩法)」と「立て塩法(湿塩法)」の2種類がありますので食材や仕上がりをイメージして使い分けます。