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こんにちは、めしラボです。
ぬか漬け(ぬか床)の美味しい季節は初夏と秋です。これはぬか床に生育している微生物が20~25℃程度の温度帯を好むためであり、それ以上になると異常発酵してしまいやすくなりますし、それ以下になると漬かりにくくなります。
このことからも冬(厳冬期)のぬか漬けは美味しく漬かりにくくなります。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- ぬか床を長期間休ませたい。
- 厳冬期はぬか床の手入れをしたくない。
- ぬか床の冬眠方法を知りたい。
ぬか床は冬眠させることができます。
ぬか床は和紙を敷いたうえで食塩を厚めに振っておけば腐りにくくなります。そのため厳冬期などのぬか漬けの漬かりにくい季節には食塩をふったうえで涼しい場所に置いておくことで手入れをすることなく春まで休ませることができます。
冬にぬか漬けの頻度の下がる家庭にはおすすめの方法です。
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ぬか床の冬眠方法は?
ぬか床の冬眠方法です。
ぬか床の冬眠には、和紙を使います。ぬか床の表面に和紙を置き、粗塩と唐辛子を散らして冷暗所で休ませます。そのため、ぬか床を冬眠させる数週間前からは「ぬか床を良い状態にしておく」ことが大前提となります。
ぬか床が健全な状態でなければ、腐らせてしまう可能性もあります。
【漬けてある野菜を取り除く】ぬか床に入っている食材を取り出します。風味付けの材料(赤唐辛子など)はそのままでも構いませんが、古漬けにしていた野菜などは確実に取り出しておいてください。昆布などは微妙なところですが、取り出せるものは取り出しておいた方が良いです。
step.1
【足しぬかと足し塩をする】塩とぬかを加えてベストな状態(塩分濃度6~8%、水分量60%前後)に調節します。注意点としては足しぬかをし過ぎないことです。足しぬかをし過ぎてしまうとpHが高くなり腐りやすくなります。多量の足しぬかが必要な場合には水抜きで対処します。
step.2
【和紙を敷いてからふり塩をする】キレイにならしたぬか床の上に和紙を置き、まんべんなく粗塩を振ります。さらに刻んだ赤唐辛子を散らしたら、しっかりと蓋をします。
step.3
【冷暗所に保管する】冷暗所とはいっても、直射日光が当たらずに暖房を使うことのない部屋であれば問題ありません。しかし、凍らせたくはありませんので室内の適当な場所で休ませてください。
step.4
以上が基本的な冬眠方法です。
なお、冷蔵庫のチルド室(5℃以下の保存庫)に余裕がある場合は落としラップなどで空気を遮断するだけでも冬眠させることができます。必要以上に塩が入ることもありませんので、その方が良い結果になるとさえ言われています。
しかし、個人的にはチルド室が占領されるのは不便だと思っています。
ぬか床の冬眠期間ですが、私の場合ですと12月から翌年2月の3ヶ月間であることが多いです。地域差はあるかと思いますが、室内であっても10℃を下回ることの多い季節にはぬか床の手入れをストレスだと感じるためです。また説明では和紙を使っていますが、和紙が手に入らない場合には調理にも使用されることの多い晒布(漂白されている木綿布)をおすすめします。
水分量の調整をする理由は?
塩分量と水分量は確実に調整しておきます。
塩分量と水分量は微生物の働きに大きな影響力を持ちます。塩分濃度が低すぎれば微生物が活動的になる可能性がありますし、水分量が極端であれば特定の微生物だけが優位に働いてしまう可能性があります。
以下のようなイメージです。
優位になる微生物 | その結果 | |
---|---|---|
水分過多 | 乳酸菌 酪酸菌 | pHが下がりすぎる 臭くなる |
水分過少 | 酵母菌 | アルコール臭 シンナー臭 |
塩分量に関しては、意図的に高くする必要はありません。
和紙を置いた上に敷き詰めるとは言っても、ぬか床に多量の塩分が入ってしまうことは避けられません。冬眠後のぬか床は塩分濃度の高い状態になりますので、冬眠前に意図的に塩分濃度を高くする必要性はありません。
水分量だけは極端にならないように注意してください。
和紙を置いて塩を散らす理由は?
和紙を置いて塩を散らすのは、腐敗を防ぐためです。
ぬか床を冬眠させるということは、3ヶ月間ほどは完全に休ませることになります。その間、表面が空気に触れているとカビますし、カビなかったとしても産膜酵母によってpHの上昇が起きてしまいます。
腐敗のリスクを低くするためにも、和紙を置いてから塩を散らします。
また刻んだ唐辛子を散らしておくことにより虫が寄り付くリスクを軽減させることができます。冬は害虫のリスクの低い季節ですので必ずしも必要な作業ではありませんが、ストックがあれば散らしておくと安心です。
この場合はカビのリスクがありますので乾燥唐辛子を使います。
冬眠していたぬか床を起こすには?
3~4月頃になったらぬか床を起こします。
起こす時期は自由ですが、ぬか床を使い始める時期から逆算して2週間くらい前には起こしておきたいところです。冬眠明けのぬか床には手入れ(塩分濃度の調節、足しぬか、水分量の調節、捨て漬けなど)が欠かせないためです。
運動前のウォーミングアップのようなものです。
【和紙を取り除く】ぬか床の表面に置いた和紙を取り除きます。起こす季節などにもよりますが、表面にできた白い膜(産膜酵母)ごと取り除くことがポイントになります。カビが生じている場合は胞子が舞い上がらないように静かに取り除きます。
step.1
【表面を取り除く】表面と側面を掃除します。ぬか床の表面は塩分濃度が高くなっていますので厚めに取り除き、側面にはカビが付着している可能性がありますので念入りに拭き取ります。
step.2
【捨て漬けをする】全体をよく混ぜ、捨て漬けをします。捨て漬け野菜は食べませんので、春キャベツの外葉などで構いません。また、水分量が足りない場合には白菜などで捨て漬けをするとぬか床の水分量を増やすことができます。
step.3
【通常管理を続ける】気温(室温)にもよりますが、2週間ほど手入れをしていれば本漬けをできるコンディションまで戻すことができます。長期間冬眠させていた場合には後味に多少の“クセ”を感じられるかもしれませんが、捨て漬けを繰り返していくうちに和らいできます。
step.4
以上がぬか床の起こし方です。
ぬか床は3カ月間ほどの冬眠期間を設けることで「味が良くなる」といわれています。冬眠明けの数週間はひねた臭い(酪酸による嫌な臭い)が生じてしまいますが、天地返しと捨て漬けを繰り返すことにより気にならなくなっていきます。
ぬか床が腐ることはありませんので安心して試してみてください。
まとめ・ぬか床を冬眠させるには?
ぬか床は冬眠させることができます。
和紙を敷いたうえで食塩を厚く敷き詰めるだけですので、難しいことではありません。たったこれだけの作業で長期間ぬか床を休ませることができます。またぬか床は休ませることにより味が良くなるともいわれています。
冬季にぬか漬けの頻度の下がる家庭においてはおすすめの方法です。
※ぬか床容器は価格変動が大きいため注意してください。常温管理には米ぬかをこぼしにくい寸胴型容器、冷蔵庫管理にはデッドスペースのできにくい角型容器がおすすめです。