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こんにちは、めしラボです。
鉄フライパンはおすすめできる調理道具です。特にシンプルな料理(引き算の料理)を好む方には心からおすすめできます。しかしノンスティック加工(テフロン加工など)のフライパンとは使い方が異なりますので多少の注意は必要です。
特に鉄フライパンには空焼きの工程が欠かせません。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- 新しい鉄フライパンを空焼きする理由は?
- 鉄フライパンはよく熱してから油を引く理由は?
- 空焼きをすると油なじみが良くなる仕組みは?
鉄フライパンは空焼きをします。
新しい鉄フライパンには輸送時のサビ止めとしてコーティングが施されていますので焼き切るために空焼きしますし、シーズニング(油ならし)をする前には赤サビを防いで油なじみをよくするために空焼きをして酸化被膜を形成させます。
また、調理後には乾かすために空焼きをします。
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さび止めを焼き切るための空焼きとは?
新しい鉄フライパンにはコーティングが施されています。
コーティング剤にはいくつかの種類があります。クリアラッカーが塗られていることもあれば、油が薄く塗られていることもあります。変わったところでは蜜蝋(ビーワックス)が塗られていることもありますので処理方法が異なります。
いずれにしても被覆材は輸送中のサビ止めが目的になっています。
クリアラッカー塗装 | 空焼きにより焼き切る |
---|---|
透明シリコン焼付塗装 | そのまま使い始める |
油 | 中性洗剤で落とす |
蜜蝋(ビーワックス) | お湯で落とせる |
基本的には取扱説明書の指示に従ってください。
焼き切らないタイプのワニス(透明シリコン焼付塗装など)を除去したくなるかもしれませんが紙やすりなどで削り落としてしまうと黒皮材の四酸化三鉄まで落ちてしまいますので防錆や油なじみの点でマイナスになります。
多くの鉄フライパンや中華鍋には焼き切るタイプのワニスが塗られています。
酸化被膜を形成するための空焼きとは?
鉄は錆やすい素材です。
鉄には2種類の錆があります。一般的な錆と認識されている赤錆(Fe2O3)は進行性で鉄を腐食させる錆ですが、黒皮などに代表される加熱処理をしなければ発生しない黒錆(Fe3O4)は安定性で鉄を赤錆から守ってくれる錆です。
また、黒錆には油なじみを良くする効果もあります。
赤錆 酸化第二鉄(Fe2O3) | 進行性の錆 |
---|---|
黒錆 四酸化三鉄(Fe3O4) | 安定性の錆 |
黒錆が自然発生することはありません。
黒錆の形成には鉄を高温に熱する必要があります。四酸化三鉄の形成温度は585℃とされていますので、鉄を暗帯赤色に可視発光する温度帯まで熱する必要があるということになります。当然、Siセンサー付きのガスコンロでは不可能です。
そのため酸化被膜を作らずに使い続けるケースも少なくありません。
油をなじませるための空焼きとは?
鉄フライパンは熱してから油を引きます。
鉄には吸着水と呼ばれる目には見えない水分が付着(化学結合)しています。吸着水が残っている状態で油を引いてしまうと油なじみが悪くなるためにシーズニングであれば油膜が剥がれやすくなり、調理前であれば食材がくっつきやすくなります。
吸着水の蒸発温度は200~250℃です。
これは食用油脂の発煙温度とも一致しているため、基本的には「薄煙が出るまで熱してから油を引く」ことがポイントとされています。
水分を飛ばすための空焼きとは?
洗った後は火にかけて乾かします。
鉄フライパンは水分が残っているとサビます。油膜や酸化被膜で防げるように思われるかもしれませんが油膜は調理中に割れたり剥がれたりすることがありますし、酸化被膜にはピンホールなどの小さな穴が無数に開いています。
そのため、水分が残っていると赤錆(酸化第二鉄)が発生してしまいます。赤錆は鉄の内部に進行してフライパンをダメにしてしまう錆ですので、使い終わった鉄フライパンは火にかけて完全に乾かしておくことがポイントになります。
吸着水まで飛ばす必要はありませんので見た目で乾いていればOKです。
まとめ・鉄フライパンを空焼きする目的は?
鉄フライパンは頻繁に空焼きをします。
新しい鉄フライパンは錆止めを焼き切るためと酸化被膜を形成させるために空焼きをし、シーズニングでは油膜(樹脂被膜)を形成させるために空焼きをします。また、油を引く前には吸着水を飛ばすために空焼きをしますし、洗った後には目に見える水分を飛ばすために空焼きをします。
鉄フライパンには空焼きが欠かせません。