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こんにちは、めしラボです。
日本料理の厨房には必ずあると言っても過言ではない雪平鍋ですが、家庭料理であってもおすすめできる調理器具です。はじめは不要に思われるかもしれませんが、調理のレベルが上がってきて下ごしらえの重要性に気づくととても重宝することになります。
特徴を理解して正しく利用することが大切です。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- 雪平鍋のメリットは?
- 雪平鍋に向き不向きはあるのか?
- 家庭料理にも雪平鍋がおすすめされている理由は?
雪平鍋には多くのメリットがあります。
一般的に、雪平鍋は食材の下ごしらえなどに重宝されています。これは雪平鍋が「お湯を早く沸かすことのできる鍋」であるためです。雪平鍋は熱伝導率に優れた素材(アルミニウムや銅など)で作られていることに加えて熱効率の良い形状をしているためにお湯が早く沸きます。
下ごしらえの多い和食の調理には欠かすことのできない道具であるといえます。
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お湯が早く沸く理由は?
雪平鍋はお湯が早く沸きます。
和食の調理では食材ごとに下ごしらえをする機会が多くなります。たとえば大根はアクを抜くために、里芋はぬめりを落とすために下茹でをします。肉や魚は臭み抜きのために、油揚げなどは油抜きのために湯通し(霜降り)をします。
このように食材の下ごしらえの多い和食の調理では「お湯が早く沸く」ということが大きなメリットになります。
アルミニウムの熱伝導率は?
雪平鍋は熱伝導率に優れています。
一般的な雪平鍋は熱伝導率に優れた素材(アルミニウムや銅など)で作られています。熱伝導率が良いということは鍋全体が温まりやすいということです。底からだけではなく側面からも熱が伝わりやすくなるためにお湯が早く沸きます。
以下は主な素材の熱伝導率です。
熱伝導率 W/(m・K) | 比熱 kJ/(kg/K) | 密度 g/cm3 | |
---|---|---|---|
銅 | 398.0 | 0.39 | 8.96 |
アルミニウム | 237.0 | 0.91 | 2.7 |
鉄 | 80.3 | 0.44 | 7.87 |
ステンレス SUS405 | 27.0 | 0.46 | 7.9 |
また、熱伝導率の良さは焦げにくさにもつながります。
食材の焦げやすさは鍋の熱伝導率と厚さに影響されます。そのため、熱伝導率が良く厚みのある鍋であるほどに焦げにくくなります。しかし、焦げにくさと食材のくっつきやすさ(凝着のしやすさ)は別の問題ですので注意が必要です。
ソース作りなどでは熱が均一に入るために焦げにくくなりますが、肉や魚は鍋の熱を奪ってしまうために凝着しやすくなります。
熱効率の良い形状とは?
雪平鍋は熱効率の良い形状をしています。
一般的な片手鍋は寸胴型(円柱型)をしていますが、雪平鍋は「底面が丸く(底面の縁の丸みが大きく)上に向かって広がるような形状」をしています。この形状により火が側面の方へも回りやすくなり熱効率が良くなっています。
中華鍋が温まりやすいのと同じ理屈です。
そのために火加減には注意が必要です。あまりにも火が強すぎると取っ手を焦がしてしまう(炭化させてしまう)ことになります。特に口径の小さな雪平鍋を使う場合には火が側面に当たらないように注意する必要があります。
どうしても取っ手を焦がしてしまう場合には「やっとこ鍋」をおすすめします。
温度をコントロールしやすい?
雪平鍋は温度のコントロールが容易です。
アルミニウムは「熱せられやすく冷めやすい素材」です。そのために温度の微調整が可能であり温泉卵のように「65~70℃を維持する」、だしのように「煮立たせてから85℃まで下げて削り節を加える」などのような温度管理が可能になります。
パスタにアルミフライパンが好まれるのも温度の微調節が利くためです。
これを土鍋や鋳物琺瑯鍋のように「熱せられにくく冷めにくい素材」の鍋を使ってしまうと、「火からおろしても温度が上がり続けてしまう」「差し水をしても思うように温度が下がらない」などの問題が生じてしまうことがあります。
長時間温度を安定させたい場合には熱容量の大きな鍋、短時間で温度を動かしながら調理する場合には熱容量の小さな鍋がおすすめです。
注ぎ口が付いている利点は?
雪平鍋には注ぎ口が付いています。
一般的な片手鍋には注ぎ口は付いていませんが、鍋から直接器(または保存容器)に移し替えることの多い雪平鍋では注ぎ口が付いています。注ぐことを重視している雪平鍋には液だれのしにくいペリカン型の注ぎ口が付いていることもあります。
ちょっとした違いではありますが、使い勝手は大きく変わります。
しかし「注ぎ口が付いている」「取っ手の取り付け金具が付いている」などの理由から蓋が乗りにくく乗ったとしても一般的な蓋つきの鍋のような密閉性は得られません。このことからも蓋ではなく落し蓋を使う機会が多くなります。
雪平鍋を最大限に活かすためにも落し蓋もそろえておくことをおすすめします。
まとめ・雪平鍋のメリットは?
雪平鍋のメリットには「お湯が早く沸く」「注ぎ口が付いている」などがあります。
この特徴が食材ごとの下ごしらえをすることの多い和食作りに適しており、一般家庭でも広く使われています。また、アルミニウムの雪平鍋には「軽い」「同程度の性能を有する素材の鍋と比べると安い」などのメリットもあります。
心からおすすめできる調理道具です。
おすすめの関連アイテム
和の職人 深型ゆきひら鍋 18cm(谷口金属工業)
- 材質:
- アルミニウム(アルマイト)
- 板厚:
- 2.2mm
- 重量:
- 0.44kg
標準的な雪平鍋です。
アルマイト加工が施されているので変色しにくく耐食性に優れています。アルマイト加工は長期の使用により傷んできますが、それ以降はボンスターで磨くなどして一般的なアルミ鍋のように使用できます。交換用のハンドルもラインナップされているので安心です。
管理人のレビュー
10年近く使用していますが不満はありません。「蓋を使えない」「料理を入れたままにできない」などを欠点としてあげる方もいますが、これらはこの製品の問題ではなくアルミの雪平鍋全般に言えることですので欠点だとは思っていません。
業務用 TKG 雪平鍋 18cm(遠藤商事)
- 材質:
- アルミニウム
- 板厚:
- 2.6mm
- 重量:
- 530g
ステンレスのハンドルの付いた雪平鍋です。
多くの雪平鍋はハンドルが木製です。そのため「炒め物や揚げ物などによりハンドルが傷む(低温炭化してしまう)ことがある」などの問題がありますが、ハンドルがステンレスであれば気兼ねなく使用することができます。
管理人のレビュー
次に買い替えるとすればこのタイプだと考えています。雪平鍋は食材の下ごしらえに利用されることの多い鍋ですが、きんぴらなどのようなちょっとした炒め物にも重宝されます。標準的な雪平鍋よりもかなりの厚板(t2.6)ですので、料理の仕上がりの面でも期待できます。
DON矢床鍋 18cm(アカオアルミ)
- 材質:
- アルミニウム
- 板厚:
- 3.0mm
- 重量:
- 480g
やっとこ鍋はハンドルのない雪平鍋です。
ハンドルがないことにより炒め物や揚げ物をしても木製ハンドルの低温炭化を心配する必要はありませんし、注ぎ口もないために蓋がきれいにはまります。また比較的安価に厚板(t3.0)のメリットを享受することができます。
管理人のレビュー
一般家庭では馴染みのないやっとこ鍋ですが、ハンドルがないことにより「3口コンロをフルに使っても邪魔になりにくい」「洗いやすいので清潔に管理できる」「重ねて収納することができる」などのメリットがあります。個人的には高頻度で使用しています。
厚手サワラ木蓋 15cm用(雅うるし工芸)
- 材質:
- サワラ材
- 厚さ:
- 約15mm
- 重量:
- 125g
サワラ材の落し蓋です。
木の落し蓋には「煮汁がまわるので味ムラができにくくなる」「食材を押さえつけることで煮崩れしにくくなる」などの効果があります。サワラ材には「吸湿性と放湿性に優れていて水分による変形が少ない」という性質があります。
管理人のレビュー
家庭での落し蓋には紙蓋を利用される方が多いですが、木の落し蓋のような重さがないために食材が踊って煮崩れしてしまうことがあります。各サイズをそろえる必要があるというデメリットはあるものの、そろえる価値はあります。
業務用 ヤットコ鋏 ステンレス(遠藤商事)
- 材質:
- ステンレス
- 長さ:
- 229mm
- 重量:
- 約254 g
ステンレスのやっとこ鋏です。
やっとこ鋏はやっとこ鍋をつかむための道具ですが、その他にも「食材を入れたザルをつかんで湯通しをする」「オーブンや魚焼きグリルからグリルプレートの出し入れをする」などにも使えます。また雪平鍋のハンドルが傷んだ場合にもおすすめできます。
管理人のレビュー
やっとこ鋏には鉄製とステンレス製がありますが、特別な理由がなければステンレス製のものをおすすめします。使用頻度が高く水に濡れることの多いやっとこ鋏は、手入れを怠るとすぐにサビてしまいます。
ガラス蓋 18cm(和平フレイズ)
- 材質:
- 強化ガラス
- 厚さ:
- 全面物理強化ガラス4.0mm
- 重さ:
- 0.35kg
一般的なガラス蓋です。
多くの雪平鍋には蓋を使えません。使える場合であってもハンドルの取り付け部分と注ぎ口部分に隙間が空いてしまいます。しかしやっとこ鍋の場合には一般的なガラス蓋を使用できますので、調理により使い分けられると便利です。
管理人のレビュー
アルミの雪平鍋には料理を入れたままにすることができません。しかし少量の蒸し物や保温をしたい場合にはガラス蓋があると便利なこともあります。このことからもやっとこ鍋を利用している場合にはガラス蓋があると料理の幅が広がります。